米国の連邦住宅金融抵当公庫:Freddie Macの集合住宅の環境デュー・デリジェンスと建物状況調査(PCA)の必要事項が2014年1月に変更され、法令順守の状況について追記されました。ゾーニング、土地利用、住宅バリアフリー、健康安全、消防、エネルギー関連について、連邦法、州法、地域の条例等の違反事項があれば指摘することが求められています。 続きを読む
自然資本
座談会特別編:第1回と次回に向けて(参考ニュース)
先週開催させていただいた土壌汚染に関する座談会では、3時間にわたって大変楽しく、課題や現状認識について活発な議論を行うことができました。土壌汚染に関わる様々な分野(環境コンサル、建設、法務、不動産、鑑定、産業界、金融、会計、メディア、大学等)の第一人者の方々に事前ご意見も頂き、重ねて御礼申し上げます。
業務や専門の立場が異なっても、同じように課題を感じている点として以下のような論点がでました。 続きを読む
座談会番外編として:(期間限定)日本の土壌汚染を考える会発足
アジアの責任投資会議_3月に東京で開催
昨年寄稿などで紹介したアジアの責任投資会議(RI ASIA 2014)が今年3月に東京で開催されます。
昨年末は、金融庁から”日本版スチュワードシップコード案”も公表され、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した責任ある投資に関する関心も高まっており、アベノミクスによる経済成長・株価の上昇もあり、東京で開催するにはとても良い時期でしょう。
世界のESG投資の潮流やアジアの動向をみることができるので、ご関心がある方は参加されてはいかがでしょうか。会議は無料で、機関投資家などは優先登録できるようです。
SASB_エネルギー資源部門のドラフト開示
2013年12月:統合報告書の枠組み(Framework)公表
昨年12月、予定されていた統合報告書の枠組みが正式に公表されました。Frameworkと呼ばれる報告書のガイドラインに加え、ドラフトから結論に至った経緯を説明する資料とサマリー(Q&A)の3つの出版物が同時に公表されています。
統合報告書は、その定義や目的についても様々な意見があり、当初は企業の財務資本の分配を評価するうえで役立つものという記載がありましたが、最終版では、「その組織がどのようにして価値を創造しているか」を説明するものであり、「財務及びその他の情報が含まれる」としています。
資本(Capital)を以下のように分類して、それぞれの資本を活用して組織が持続的な経営をしているのかを示すものという概念が示されています。(正式な和訳ではないので、原文をご参照ください。) 続きを読む
欧州議会で非財務情報の開示義務法案が承認
昨日の欧州議会で、環境・社会・労働側面やガバナンスなどの企業の非財務情報の開示を義務付ける提案が承認されました。
従業員500名以上の大企業や上場企業に、情報開示の拡充を義務付ける方向で、今後、国際的な指標などを踏まえて、開示拡充に向けたガイドラインなどが策定されるようです。さらに2018年以降は、大企業の国別の税額・利益・補助金などの開示を義務付けるかどうかも検討することが追記されています。
企業経営の大きな方向性ではありますが、企業にとっては、これまでと違う種類の情報を開示することになりますので、大変な時代になりつつあります。
持続可能性報告と財務報告の一体化に向けて
サステナビリティ報告、CSR報告書と財務報告の一体化となる統合報告に向けた動きは国内でも進んでいますが、先週、欧州で財務責任者(CFO)が持続可能性に向けて議論するCFO(財務責任者)の会が発足しました。
イギリスのチャールズ皇太子のもとで、大手企業10数社のCFOが集まり、今後、環境や社会面の課題解決やビジネスをどのように企業戦略や財務報告に結びつけるかという議論を進め、統合報告や自然資本に関する具体的なガイドラインの作成などに取り組むとのことです。
今後1年での実施事項は以下の通りとなっています。
- 資本的支出の評価に持続可能性の視点を入れるなど、意思決定の透明化に向けたガイドラインの作成
- 自然資本、社会資本の評価や計測の方法の開発に向けた貢献
- 持続可能なビジネスモデルに関する投資家の関わりの改善
統合報告や自然資本の動きも踏まえてか、または政策的な影響の大きい公益事業のためか、水やユーティリティ、不動産関連などインフラ系企業が多い印象です。メンバーにはイギリス企業だけでなく、フランスのダノンやアメリカのWalmart等も含まれています。
日本では、環境報告→CSR報告→統合報告と徐々に移行している企業が多いなか、現状では、CSR報告書を複数部署で作成している企業が多いと思われます。財務責任者がCSRや環境・社会面の開示について考える会というのは、まだあまり聞いたことがありません。
少し先のことのように思われますが、CSR報告と財務報告が本当の意味で統合するためには、やはり財務責任者の見方は非常に重要で、それによって初めて本当の意味の持続可能なビジネスになるのでしょう。イギリスではこの動きに本格的に取り組んでいるという見方ができそうです。