今年初めに大惨事があったバングラディシュについて、”従業員の仕事の視点と企業の生産性”の観点からまとめられた報告書が公表されました。インドとバングラディシュの繊維工場を対象にした労働環境と生産性向上に向けた研修プログラムの前後の成果に関する調査結果で、わかりやすい指標をベースに定量的なデータも掲載されています。
ここでは調査結果を分析するために、以下の指標を活用しています。
経営の指標;効率性、出荷率、社員の欠勤率
従業員の指標;手取り給与、時給、退職率
よい経営の指標と、従業員にとって良い仕事の指標は、必ずしも一致しない場合もありますが、以下の研修プログラムを実施した結果、バングラディシュとインドの双方で、生産性が向上し、退職率は大きく減少した結果となっています。
研修プログラムは、以下の4つのほか各種コミュニケーション、意識改革などが含まれているようです。
①人事
②生産:生産効率の向上
③品質
④防災
報告書では、”よい会社は、従業員に対してよい仕事を提供する”というメッセージが様々な側面から出ています。日本ではこれまでCSRの中でも、外部に発信する情報では環境面に重みが置かれていました。環境経営の動きが始められてから20年超となり、グローバル企業では環境経営は、業種や規模、経営方針などで多少の差はあっても、ほとんど当たり前のアジェンダとして定着してきています。
日本企業のグローバル化が加速している昨今、価値観の異なる文化圏のなかで、従業員とよい関係を築いていくことはますます重要になり、CSRの情報発信も少しずつ社会面にシフトしてくるのではないかと思われます。上記報告書は、シンプルな指標を活用していますが、とてもわかりやすい内容になっています。数値、コメント、文章など興味深い内容で、デザインもとても読みやすいので、ちらっといくつかのコメントを見るだけでも参考になります。