米国各地でのシェールガス反対運動

今月初め、コロラド州の3つの市とオハイオ州の1つの市でシェールガス開発である水圧破砕、いわゆるフラッキングを一時的に禁止する住民投票が行われました。コロラド州では、フォートコリンズ市とボルダ―市、ラファイエット市でフラッキングの禁止が可決されましたが、 投票数を再確認していたBroomfield市では、13票不足していたようです。関連情報はこちらのほか、各種メディアに掲載されています。

アメリカでは、州全体としてシェールガス開発を禁止しているところはニューヨーク、ニュージャージ、メリーランドなどわずかに留まりますが、郡や町(Town)でその境界内に新たなシェールガス開発を行うことを禁止するケースはすでに100以上に上っており、少なくとも8以上の州の特定の地域で禁止等が行われています。

一方、州法で認められているシェールガスの掘削が、州内の特定の自治体(群や町)で禁止できるかどうかについては訴訟となっているところもあり、Zoning規制(この場所では実施してはいけないというもの)は認められないが、一定の手続き等の追加は認められるなどの判決が出ているところもあります。全体として、シェールガス開発の環境影響などに懸念をする住民運動が増えていることは事実ですが、これらがシェールガス全体の開発にどのような影響を及ぼすのかはまだはっきりした影響はみえにくい状態です。

ただし、これらの住民投票や地域の規制が、ビジネス実務に及ぼす影響はあるため、事業実施主体だけでなく、投融資をする企業や金融機関でも環境デューデリジェンスとして、通常の質問に加えたいくつかの内容を追記すべきと提唱されています。またシェールガスの掘削井戸の近くの不動産に関しても、こうしたデューデリを実施することが求められる場合もあります。

デューデリジェンスで追加的に実施する内容としては、たとえば・・・

・地域のMoratoriaがあるか、その他の追加規制があるか

・井戸のセットバック規制は守られているか

・閉鎖井戸に関する規制はあるか

・地下水や飲用水のモニタリングは実施されているか、それらの責任者は誰か・・などです。

その他の質問の多くは、ポータルに公表している規制内容と概ね重複かつ関連していますので、ご参照ください。詳細がお知りになりたい方はこちらからご連絡ください。

シェールガス開発も、大きなエネルギー革命であるといはいえ、無害の夢の技術ではありません。他のエネルギー開発と同様に、産業活動に伴うリスクがあり、うまく管理していくことがより重要になっているといわれています。環境問題への懸念については、過度に警戒するよりも他の産業での環境リスクと同様に管理していくことが重要という認識が専門家には多いように見受けられますが、世論の動きは大きな変化が急におこることもあるため、引き続き注視が必要といえそうです。