土地売買やM&Aの際の環境デューデリジェンスの一環として広く活用されている、ASTMフェーズ1環境サイトアセスメント(ASTM E-1527-05)が8年ぶりに改訂され、年内にASTM E1527-13として発行される予定といわれています。
ASTM のこのフェーズ1基準は、ASTM基準の中でも最も実務的な普及が進んだ基準の一つといわれていますが、2005年版以降、多くの金融機関などが環境リスクマネジメントの方針を明確に打ち出したこともあり、融資や担保評価の際にももっとも広く活用されている環境デューデリ基準の一つとなっています。また、米国の土壌汚染対策の主要法令の一つであるCERCLA (通称スーパーファンド法)の調査方法や免責要件にも正式にリンクしており、今回の改訂に当たっても、米環境保護庁(EPA)でのレビュー期間があるようです。
今年の改訂では、これまでわかりにくいと指摘されていた用語の定義や範囲を明確にするとともに、新たにリスク管理として推奨する揮発性リスクの問題などを明示する予定となっており、改訂される大きなポイントは以下3つであるとアメリカの専門家などが分析しています。
≪2013年版の大きな変更点(予定)≫
1)結論に記載されるREC (Recognized Environmental Condition; 環境上の所見、環境リスク等)の定義が変更され、新たにCRECが追加され、以下3つに分類される。
①REC(Recognized Environmental Condition):現在、そのサイトに土壌汚染等など何らかの環境リスクがある状態
②HREC(Historical Recognized Environmental Condition):過去に汚染があったが、浄化が完了し、規制当局の承認を得て、住居用地としても使用できる、利用制限のない状態
③CREC (Controlled Recognized Environmental Condition):汚染がある土地でリスクベースの浄化が完了し、これ以上浄化措置が必要ないことを規制当局が認めており、産業・商業用地としては利用できるが、住居用地としては使用できない、利用制限がある状態
2)書面調査:隣接地の書面調査が推奨される
3)揮発性物質に伴うリスク評価が拡充される
なお、上記は専門的な定義をかなりかみ砕いて要約していますので、詳細は以下EDR等のWebにて原文の定義をご確認ください。また、その他のマイナーな変更も様々な環境コンサルタントや法律事務所等が紹介しています。
最新情報がアメリカのサイトアセスメントのデータ提供をしているEDR社に多数掲載されています。
http://www.edrnet.com/events–resources/edr-insight/resources
http://www.slideshare.net/edrnet/the-new-astm-e-152713-standard
まだ上記変更案に対する業界内の意見などは紹介されていませんが、より包括的なリスク管理をすることができ、またわかりやすい分類に結論付けられるという見方もでています。