先週末はアメリカからのシェールガスが2017年にも日本に輸出されることが決定されたというニュースがありました。アメリカでは現在、シェールガスが天然ガス全体の3割強を占めるとされていますが、2015年までに4割を超えるという予想もあります(IHS Global Insight)。
こうしたなか、早くもアメリカでシェールガス開発がここまで成功した背景について分析が始まっており、アメリカのワシントンDCにある環境・エネルギー関連のシンクタンクから、シェールガス・ブームの背景となった政策や技術的な要因をレビューしたレポートが発表されています。(最初のアカデミックレポートとのこと)
http://www.rff.org/RFF/Documents/RFF-DP-13-12.pdf
このレポートでは、シェールガス・ブームを生んだ要因として、政府のR&D政策、民間企業としての経営と市場構造、技術革新、民間の比較的安価な土地や鉱業権のリース、2000年代の比較的高い天然ガスの価格、豊富な水源、天然ガスのパイプライン、豊かな資本市場のほか、様々な要因があったと分析しており、特に技術的には水平掘削、3-D探査画像、水圧破砕技術の3つが最も重要な技術と評価されているというNational Research Councilの分析を引用しています。
これらの要因の一つ一つが、アメリカ以外ではあまり一般的でないことは、このレポートにも指摘していますが、イノベーションが実際に実を結ぶ数十年の間には、様々な課題があったことも示されており、今後開発が進められる国や地域で参考になるとともに、開発推進において課題になる可能性も考察しています。
なお、このレポートでは、現在課題になっている環境リスクについて詳細には触れていませんが、シェールガス開発以前にも天然ガスの掘削に関して、環境問題の訴訟は90年代から始まっており、シェールガス開発を進める企業にも大きな影響を与えたとしています。環境保全との両立の面で、適切な規制があることが重要であるとして、他の非在来型エネルギーとの政策的な調和の必要性も提起しています。