アジアの責任投資会議_3月に東京で開催

昨年寄稿などで紹介したアジアの責任投資会議(RI ASIA 2014)が今年3月に東京で開催されます。

昨年末は、金融庁から”日本版スチュワードシップコード案”も公表され、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した責任ある投資に関する関心も高まっており、アベノミクスによる経済成長・株価の上昇もあり、東京で開催するにはとても良い時期でしょう。

世界のESG投資の潮流やアジアの動向をみることができるので、ご関心がある方は参加されてはいかがでしょうか。会議は無料で、機関投資家などは優先登録できるようです。

 

 

SASB_エネルギー資源部門のドラフト開示

先週、アメリカのSASB (サステナビリティ会計基準機構)から、エネルギー資源業界のガイドラインが公表されました。昨年からヘルスケア、技術・通信、金融と、相次いで各業界での持続可能性に関する重要事項を公表していますが、今回は石油や天然ガスの以下8分野について、非再生資源(Non-Renewable Resources)としてガイドライン素案がでています。 続きを読む

2013年12月:統合報告書の枠組み(Framework)公表

昨年12月、予定されていた統合報告書の枠組みが正式に公表されました。Frameworkと呼ばれる報告書のガイドラインに加え、ドラフトから結論に至った経緯を説明する資料とサマリー(Q&A)の3つの出版物が同時に公表されています。

統合報告書は、その定義や目的についても様々な意見があり、当初は企業の財務資本の分配を評価するうえで役立つものという記載がありましたが、最終版では、「その組織がどのようにして価値を創造しているか」を説明するものであり、「財務及びその他の情報が含まれる」としています。

資本(Capital)を以下のように分類して、それぞれの資本を活用して組織が持続的な経営をしているのかを示すものという概念が示されています。(正式な和訳ではないので、原文をご参照ください。) 続きを読む

欧州議会で非財務情報の開示義務法案が承認

昨日の欧州議会で、環境・社会・労働側面やガバナンスなどの企業の非財務情報の開示を義務付ける提案が承認されました。

従業員500名以上の大企業や上場企業に、情報開示の拡充を義務付ける方向で、今後、国際的な指標などを踏まえて、開示拡充に向けたガイドラインなどが策定されるようです。さらに2018年以降は、大企業の国別の税額・利益・補助金などの開示を義務付けるかどうかも検討することが追記されています。

企業経営の大きな方向性ではありますが、企業にとっては、これまでと違う種類の情報を開示することになりますので、大変な時代になりつつあります。

法案内容については、4月に掲載したブログもご参照ください。

 

持続可能性報告と財務報告の一体化に向けて

サステナビリティ報告、CSR報告書と財務報告の一体化となる統合報告に向けた動きは国内でも進んでいますが、先週、欧州で財務責任者(CFO)が持続可能性に向けて議論するCFO(財務責任者)の会が発足しました。

イギリスのチャールズ皇太子のもとで、大手企業10数社のCFOが集まり、今後、環境や社会面の課題解決やビジネスをどのように企業戦略や財務報告に結びつけるかという議論を進め、統合報告や自然資本に関する具体的なガイドラインの作成などに取り組むとのことです。

今後1年での実施事項は以下の通りとなっています。

  • 資本的支出の評価に持続可能性の視点を入れるなど、意思決定の透明化に向けたガイドラインの作成
  • 自然資本、社会資本の評価や計測の方法の開発に向けた貢献
  • 持続可能なビジネスモデルに関する投資家の関わりの改善

統合報告や自然資本の動きも踏まえてか、または政策的な影響の大きい公益事業のためか、水やユーティリティ、不動産関連などインフラ系企業が多い印象です。メンバーにはイギリス企業だけでなく、フランスのダノンやアメリカのWalmart等も含まれています。

日本では、環境報告→CSR報告→統合報告と徐々に移行している企業が多いなか、現状では、CSR報告書を複数部署で作成している企業が多いと思われます。財務責任者がCSRや環境・社会面の開示について考える会というのは、まだあまり聞いたことがありません。

少し先のことのように思われますが、CSR報告と財務報告が本当の意味で統合するためには、やはり財務責任者の見方は非常に重要で、それによって初めて本当の意味の持続可能なビジネスになるのでしょう。イギリスではこの動きに本格的に取り組んでいるという見方ができそうです。

 

金融業界のサステナビリティ_SASBがドラフト公開

先週、金融セクター7業種のサステナビリティに関する重要項目案が、米国のSASBから公表され、12月末までパブリックコメント期間になっています。

環境面については、おもに以下の3つのポイントが含まれています。

  • 融資や投資における信用リスク評価に、環境・社会・ガバナンスに関する要素を統合すること(投融資)
  • 担保不動産等の環境リスク管理(不動産担保ファイナンス)
  • 環境リスクの影響(保険)

 春頃のブログで掲載しましたが、米国では中小金融機関の担保不動産審査時における環境リスクの評価も明文化され、環境リスク評価が広がりつつあります。また今月6日に公表されたASTMの環境サイトアセスメント(E1527-13)などにより、政府データの確認や揮発性物質(Vapor Intrusion)などのリスク管理も拡充され、金融機関の環境リスク評価の仕組みも進化していくでしょう。

市場の成長を維持しながら、仕組みを成熟化させていくには、ルールをわかりやすくし、新規参入者に門戸を開くことも重要になると思われます。

FINEV座談会では異業種の皆様に参加いただき、関連分野の成長と進化につながる情報交換を進めていきたいと思っています。

 

 

自然資本の政策への組み入れを承認したイギリス議会

先週、イギリス議会は、自然資本(Natural Capital)を今後、国の政策や会計等に組み入れる方向を固めたようです。議会の議論については公開されています。

自然資本は、水や土壌、エネルギーなどの自然資源の価値を評価し、それらを保全しながら、経済社会の中で持続的に活用していくことを目指しています。そのために、まず自然資本の実態をきちんと把握し、評価する枠組みを確立することが提唱されています。こうした取り組みを支持する世界の約50の金融機関が自然資本宣言(Natural Capital Declaration)を採択しており、日本では三井住友信託銀行が参加しています。

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バングラディッシュとインドの衣料品工場に関するレポート

今年初めに大惨事があったバングラディシュについて、”従業員の仕事の視点と企業の生産性”の観点からまとめられた報告書が公表されました。インドとバングラディシュの繊維工場を対象にした労働環境と生産性向上に向けた研修プログラムの前後の成果に関する調査結果で、わかりやすい指標をベースに定量的なデータも掲載されています。

ここでは調査結果を分析するために、以下の指標を活用しています。

経営の指標;効率性、出荷率、社員の欠勤率

従業員の指標;手取り給与、時給、退職率

よい経営の指標と、従業員にとって良い仕事の指標は、必ずしも一致しない場合もありますが、以下の研修プログラムを実施した結果、バングラディシュとインドの双方で、生産性が向上し、退職率は大きく減少した結果となっています。

研修プログラムは、以下の4つのほか各種コミュニケーション、意識改革などが含まれているようです。

①人事

②生産:生産効率の向上

③品質

④防災

報告書では、”よい会社は、従業員に対してよい仕事を提供する”というメッセージが様々な側面から出ています。日本ではこれまでCSRの中でも、外部に発信する情報では環境面に重みが置かれていました。環境経営の動きが始められてから20年超となり、グローバル企業では環境経営は、業種や規模、経営方針などで多少の差はあっても、ほとんど当たり前のアジェンダとして定着してきています。

日本企業のグローバル化が加速している昨今、価値観の異なる文化圏のなかで、従業員とよい関係を築いていくことはますます重要になり、CSRの情報発信も少しずつ社会面にシフトしてくるのではないかと思われます。上記報告書は、シンプルな指標を活用していますが、とてもわかりやすい内容になっています。数値、コメント、文章など興味深い内容で、デザインもとても読みやすいので、ちらっといくつかのコメントを見るだけでも参考になります。

SASB 技術・通信セクター素案公表

アメリカのSASB (Sustainable Accounting Standard Board)から技術・通信セクターのサステナビリティに関する開示事項・重要性事項等に関する素案が先週公表されました。来年1月まで90日間のパブリックコメント期間だそうです。

以下の業界が対象になりますので、日本にも先進的なCSRを進めている企業が多い業界です。米国上場企業だけでなく、開示内容や開示方法を決める際の参考になりそうです。

  • Electronic Manufacturing Services & Original Design Manufacturing (電子機器製造サービス等)
  • Software & IT Services (ソフトウエア・ITサービス)
  • Hardware (ハードウエア)
  • Semiconductors (セミコンダクター)
  • Telecommunications (通信)
  • Internet Media & Services (インターネットメディア)

重要性に関する要約表はこちらに掲載されています。

セミナーの御礼と今後の座談会について

昨日はSGSジャパン様と共同開催させていただいた海外環境デューデリジェンスセミナーにて多方面の皆様にお世話になり、ありがとうございました。第一部では藤井先生にたいへん貴重なご講演を頂き、国内環境デューデリジェンスのきっかけについて改めて勉強させて頂きました。また、第二部では、ロンドンオリンピック2012をベースにご参加の皆様の専門分野のもとで大変楽しく、かつレベルの高い意見交換をさせて頂きました。

ご参加いただきました方には重ねて心より御礼申し上げます。

ご専門が少しずつ違う皆様とお話しさせて頂くことで、いろいろなアイディアや既成概念にとらわれないお話が生まれることはとても素晴らしいことだと実感致しました。

引き続き、FINEVではこうした座談会を不定期または定期的に開催させて頂くことを検討したいと思っております。ご案内をご希望の方は、こちらからご登録頂ければ幸いです。

テーマとしては・・・

・海外でのオリンピック関連の環境・サステナビリティ

・海外・国内環境法制度

・海外・国内の環境・CSR関連の会計制度・財務報告

・海外・国内不動産関連

・海外・国内CSR/SRI/環境金融/環境保険等

・海外・国内の環境/CSR に関するITソフト

・シェールガス・オイルに関する動向(環境規制、不動産その他)

などを検討中です。ご登録の際に、ご関心のテーマがありましたら併せてお知らせください。
御礼に重ねて、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 

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