日本EDD認証推進協議会の設立に向けて

2014年4月

これまで5回にわたり、海外でのEDDの活用や政策について紹介してきたが、最終回となる本稿では、日本国内における動きを紹介したい。

≪2013年度日本版EDD研究会≫

弊社では、2012年末より大手環境分析企業等との協議のもと、私的研究会として日本版EDD研究会を企画・運営し、大手分析会社10社、建設、環境エンジニアリング、認証機関等と共に海外における官民組織におけるEDDの利用や活用状況を共有し、国内におけるEDDの活用に向けた準備を進めてきた。

研究会での会員における聴き取りのもと、発注企業と分析会社が分析結果や速報の結果を迅速に、どこでもWebを通じて共有する仕組みとして土壌・地下水汚染分野を選定し、1年間で第一弾のEDDポータルの利用が目前になっている。

一部の会員企業と共に、2013年末には経済産業省への訪問が実現し、計量分析結果の電子化に向けて、多数の企業が参加でき、同省及び政府のセキュリティ方針に沿うクラウド・コンピューティング・システムの利用をするという点のアドバイスを承った。また、国内法に沿い、計量士の押印を電子上で実現するためには、電子認証等の仕組みを導入する必要があることも明確になり、当初の段階的なEDDの推進に比べ、より抜本的な欧米型EDDの仕組みが現実的になるようになっている。

≪研究会の社団法人化≫

昨年来の研究会を終え、今後は分析会社やユーザを含めた幅広い関係者が主体的にEDDの推進を担っていく必要性が高いと判断し、2014年4月に(仮称)一般社団法人日本EDD認証推進協議会を設立する準備を始めている。

計量証明書が電子認証されるようになると、各社で分析結果を活用したエクセルシート等の作成にも短時間で対応でき、顧客の要望に応えやすくなるだけでなく、電子認証に伴い印紙が不要となる。このため、電子化に伴う具体的なコスト削減につながる可能性も実現の方向性が見えはじめた。

2014年3月初旬に開催した社団法人化に向けた説明会には、旧研究会メンバーだけでなく、ユーザ10社以上を含めた20社以上が参加した。2014年4月中に社団法人の設立をし、2014年5月以降に正会員の募集を行う。すでに分析会社、分析機器メーカー等が参加する予定となっている。

環境計量分析結果の電子利用は、これまで紹介した米国や欧州をはじめ、アジア新興国でもグローバル企業の先導等により急速に進んできている。自然環境の計測・分析結果が、社会経済データと結びつくことにより、いわゆるビックデータとして、ビジネスや社会の様々な場面で貢献することになるだろう。

情報通信(IT)技術をはじめ、分析機器や移動車両、さらには人が身に着けるウエアラブル機器等の開発も進み、インターネットと接続することにより、これまで実現しなかった情報が結び付けられるようになっている。情報やデータの安全な利活用には、一定のセキュリティ基準やルールを満たす必要があるが、継続的な技術や制度、運用の枠組みを解決することにより、社会の多くの課題解決にもつながる可能性は大きい。

環境計量分析事業に係る様々な関係者の皆様にとっても、今後の事業の成長や経営革新に結び付ける好機となると考えらえる。本協議会にも積極的な参画を期待したい。

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(仮称)一般社団法人日本EDD認証推進協議会

【背 景】

経済活動における環境保全の取り組みが進み、大気、水、土壌、廃棄物等に関わる環境分析データの取り扱いは多岐に及んでいます。

国内での公共データの民間利用やG8オープンデータ憲章などにより、環境データと他のデータの相互利用やより多角的・効果的な利活用が普及する方向性となって参りました。

さらに、国内企業の海外進出、環太平洋自由貿易協定(TPP)への参加などにより、国内外の環境分析データを有効かつ効果的に活用し、企業や組織の競争力向上、リスク管理の向上に活用する重要性が高まってきています。

このため、国内の環境分析データのより効果的な活用を目指すと共に、海外の技術やサービス、活用方法などの状況をいち早く共有し、環境分析データをより有効かつ高い利便性のもとで利活用することをめざし、今般、一般社団法人日本EDD認証推進協議会を設立することとなりました。

環境分析業界だけでなく、本趣旨に賛同頂ける環境分析データを活用する産官学各組織の皆様に参加して頂き、国内における環境分析データの活用推進を目指して参りたいと考えています。

【目 的】

  • 環境分析データを中心とする環境データの有効利用・効果的な運用を推進する。
  • 環境分析データの電子利用における認証に向けた検討・認証事業の整備を行う。
  • 環境分析データの電子化、電子データ(EDD)の活用を拡大・普及する。
  • 環境分析データ等を生成・活用する企業の競争力の向上及び適切なリスク管理の
  • 推進をめざす。
  • 国際的な環境分析データの利活用の推進と国際交流を行う。

【事 業】

  • 環境分析データ等の電子利用の開発・普及
  • 環境分析データの電子利用における認証
  • 環境分析データ等を生成・活用する企業及び組織への情報提供
  • 国内外における環境分析データの活用動向、最新技術、法制度等の調査研究
  • 上記に関わる教育研修、普及事業

≪中期的な活動の方向性≫

中期的な活動の方向性