先週、欧州議会で従業員500人以上の大企業に対して、環境や社会的な影響を報告することを義務付ける法案が可決されました。いわゆるCSR報告の義務化という位置づけとなっており、企業経営の変化における大きな一歩という報道がされています。
欧州
中国の土壌汚染調査・浄化の技術ガイドライン公表
昨年のセミナー等でもご紹介したように、世界各地で土壌汚染・地下水汚染に関する法制度化が進んでいますが、2014年2月19日に中国でもあらたに国のガイドラインが発表されました。
調査や浄化の手法を示した技術ガイドラインで、今年の7月1日から、調査や浄化を実施する場合には本ガイドラインに遵守することが求められています。 続きを読む
各地の新たな動き:アメリカの水保全規制案と企業のグリーン債券発行
先週は、公益事業学会のガス制度研究会シンポジウムでシェールガスの環境問題について短時間のご紹介をさせて頂きました。アメリカでは、その後、水関連の新しい規制案が提出されています。
これまで水質浄化法(Clean Water Act)で定義があいまいであった湿地等の水域を保全する法律のようです。環境保護庁(EPA)と陸軍工兵司令部(US Army Corps of Engineers)が共同して行い、農務省(USDA)とも共同プログラムを実施するということです。陸軍工兵司令部が関連しているのは、日本からみると不思議な気がしますが、ダムなどの土木工事を管轄することから、湿地帯の監督権限をもっているためです。水質管理の枠組みを明確にするもので、賛成も多いようですが、各所にどのような影響があるのか、今後確認してみたいと思います。
またイギリスでは、ユニリーバ社が2.5億ポンドのグリーン債券を発行したというニュースがありました。
温室効果ガス、水、廃棄物に関して以下のような環境目標を達成することを基準に2018年までの期間の社債として発行するもののようです。
CO2(温室効果ガス)・新設工場:50%削減、既存工場:30%削減(再生可能エネルギーの利用)
水使用・・・・・・・・・新設工場:50%削減、既存工場:30%削減
廃棄物発生・・・・・・・新設工場:50%削減、既存工場:30%削減、有害廃棄物の最終処理ゼロ。
かなり大胆な目標ですが、グリーン債券原則にもとづき策定した同社のグリーン債券枠組みに沿い、外部の大手コンサル会社がパフォーマンス確認を行っていくとのことで、企業が環境対策目標を設定し、外部から資金を調達して環境対策を実施するという動きが欧州等で徐々に本格化してきているようです。日本の証券会社もグリーン債券原則に参画しているようですので、是非活用が始まるとよいですね。
金融庁が『日本版スチュワードシップコード』公表
2月26日に金融庁から機関投資家に対する『日本版スチュワードシップ・コード」が公表されました。
資産運用にあたって企業の持続的な成長を支える「責任ある機関投資家」の諸原則の一つという位置づけです。
内容は、「原則主義」「遵守または実施しない場合は理由の説明(Comply or Explain)」という形をとっており、全体的に基本方針が示されています。環境やCSRに関連する内容は、原則3に示されており、「機関投資家は、企業の持続成長に向けて、企業の社会・環境面の状況を的確に把握すべき」としており、リスク情報という観点で示されています。
昨日の日経ベリタスには、日本の株式保有の3割が外国投資家になっており、本コードに関連して、日本企業の外国投資家への姿勢が変わってきたという記事がでていました。環境、社会、ガバナンスに配慮するESG投資(SRI)の規模は、米国や欧州では日本のSRIの100倍以上になっています。国内外の機関投資家からの環境や社会面の評価が投資に反映されるようになれば、情報開示の経済的な意味合いも深まってくるでしょう。
座談会特別編:第1回と次回に向けて(参考ニュース)
先週開催させていただいた土壌汚染に関する座談会では、3時間にわたって大変楽しく、課題や現状認識について活発な議論を行うことができました。土壌汚染に関わる様々な分野(環境コンサル、建設、法務、不動産、鑑定、産業界、金融、会計、メディア、大学等)の第一人者の方々に事前ご意見も頂き、重ねて御礼申し上げます。
業務や専門の立場が異なっても、同じように課題を感じている点として以下のような論点がでました。 続きを読む
2014年のエネルギーマネジメントの10大予想
欧州をベースとするサステナビリティの調査会社が、今年の世界のエネルギー・マネジメント動向に関する10大予想を発表しました。
第一に挙げられているのは、「日本で建物のエネルギー管理が大きく広がる」というものです。
日本がこうした世界市場の動向で出てくることは今まであまりなかったので驚きますが、世界的なトレンドの中で大きな動きの一つとして捉えられているというのはよいことなのでしょう。他の項目も特に日本市場についての言及はありませんが、日本企業が回答していますので関連するものがありそうです。
10項目は以下の通りです。 続きを読む
座談会番外編として:(期間限定)日本の土壌汚染を考える会発足
アジアの責任投資会議_3月に東京で開催
昨年寄稿などで紹介したアジアの責任投資会議(RI ASIA 2014)が今年3月に東京で開催されます。
昨年末は、金融庁から”日本版スチュワードシップコード案”も公表され、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した責任ある投資に関する関心も高まっており、アベノミクスによる経済成長・株価の上昇もあり、東京で開催するにはとても良い時期でしょう。
世界のESG投資の潮流やアジアの動向をみることができるので、ご関心がある方は参加されてはいかがでしょうか。会議は無料で、機関投資家などは優先登録できるようです。
2013年12月:統合報告書の枠組み(Framework)公表
昨年12月、予定されていた統合報告書の枠組みが正式に公表されました。Frameworkと呼ばれる報告書のガイドラインに加え、ドラフトから結論に至った経緯を説明する資料とサマリー(Q&A)の3つの出版物が同時に公表されています。
統合報告書は、その定義や目的についても様々な意見があり、当初は企業の財務資本の分配を評価するうえで役立つものという記載がありましたが、最終版では、「その組織がどのようにして価値を創造しているか」を説明するものであり、「財務及びその他の情報が含まれる」としています。
資本(Capital)を以下のように分類して、それぞれの資本を活用して組織が持続的な経営をしているのかを示すものという概念が示されています。(正式な和訳ではないので、原文をご参照ください。) 続きを読む
欧州議会で非財務情報の開示義務法案が承認
昨日の欧州議会で、環境・社会・労働側面やガバナンスなどの企業の非財務情報の開示を義務付ける提案が承認されました。
従業員500名以上の大企業や上場企業に、情報開示の拡充を義務付ける方向で、今後、国際的な指標などを踏まえて、開示拡充に向けたガイドラインなどが策定されるようです。さらに2018年以降は、大企業の国別の税額・利益・補助金などの開示を義務付けるかどうかも検討することが追記されています。
企業経営の大きな方向性ではありますが、企業にとっては、これまでと違う種類の情報を開示することになりますので、大変な時代になりつつあります。