シェールガス開発成功の背景(その1)

先週末はアメリカからのシェールガスが2017年にも日本に輸出されることが決定されたというニュースがありました。アメリカでは現在、シェールガスが天然ガス全体の3割強を占めるとされていますが、2015年までに4割を超えるという予想もあります(IHS Global Insight)。

こうしたなか、早くもアメリカでシェールガス開発がここまで成功した背景について分析が始まっており、アメリカのワシントンDCにある環境・エネルギー関連のシンクタンクから、シェールガス・ブームの背景となった政策や技術的な要因をレビューしたレポートが発表されています。(最初のアカデミックレポートとのこと)

http://www.rff.org/RFF/Documents/RFF-DP-13-12.pdf

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GRI G4とCSR2.0 とマネジメント2.0

今週、CSR報告書のガイドラインとして世界で最も定着しているGlobal Reporting Initiative (GRI)の最新版:G4が公表される予定となっています。G4では、サプライチェーンの記載や企業の業務に応じたバリューチェーンに沿ったマテリアリティ(重要性)を踏まえた報告を重視する方向のようですが、開示項目が現状から大幅に増え100項目を超えることも予想されており、CSR業界でも様々な意見があるといわれています。

http://www.verdantix.com/blog/index.cfm/post/92

GRIはCSRの情報開示に関するガイドラインですが、企業の社会的責任(CSR)全般について、これまで比較的個別に、また事業に付加的なアプローチがされ、本質的には企業経営において重視されてこなかったという反省や評価も少なくありません。このため、たとえば上記にも紹介されている意見の一つとして、コカコーラ社からは、CSR報告書は、CSRの専門家だけに評価されるものではなく、より広い範囲の関係者・読者に理解してもらうことが重要であるとして、ドラフト段階のG4について、より技術的にまた複雑になっているのではないかという課題も出されています。

http://www.cokecce.com/news-and-events/news/opinion-the-end-of-the-sustainability-report-by-lucinda-hensman-head-of-sustainability-communications-at-coca-cola-enterprises

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ASTM Phase1 E1527-13 案:主要な3つの変更点

土地売買やM&Aの際の環境デューデリジェンスの一環として広く活用されている、ASTMフェーズ1環境サイトアセスメント(ASTM E-1527-05)が8年ぶりに改訂され、年内にASTM E1527-13として発行される予定といわれています。

ASTM のこのフェーズ1基準は、ASTM基準の中でも最も実務的な普及が進んだ基準の一つといわれていますが、2005年版以降、多くの金融機関などが環境リスクマネジメントの方針を明確に打ち出したこともあり、融資や担保評価の際にももっとも広く活用されている環境デューデリ基準の一つとなっています。また、米国の土壌汚染対策の主要法令の一つであるCERCLA (通称スーパーファンド法)の調査方法や免責要件にも正式にリンクしており、今回の改訂に当たっても、米環境保護庁(EPA)でのレビュー期間があるようです。

今年の改訂では、これまでわかりにくいと指摘されていた用語の定義や範囲を明確にするとともに、新たにリスク管理として推奨する揮発性リスクの問題などを明示する予定となっており、改訂される大きなポイントは以下3つであるとアメリカの専門家などが分析しています。 続きを読む

アメリカ:環境データの電子化の動向:推奨から義務化へ

アメリカでは、すでにいくつかの省庁や州で環境データの提出について電子納品が義務化されていますが、昨年環境保護庁(EPA)から提案されている有害物質管理法(Toxic Substance Control Act, TSCA)のもとでの化学物質データの電子納品の義務化が一つの大きな流れとして取り上げられています。TSCAは製造や輸出する製品に含まれる化学物質が対象となるため関連する企業は少なくないと思われます。

http://www.epa.gov/oppt/chemtest/ereporting/

数年前から大気浄化法(CAA)の一部で電子納品が義務化されているほか、カリフォルニア州やニュージャージー州などでは一部のプログラムで法令上義務付けられているデータの一部で電子納品が義務付けられていますが、EPAでは今後新たに制定される法律についてはすべて電子納品を義務化することも検討しているようです。

この背景として、オバマ大統領の2011年1月の大統領令13563号に基づき、EPAが同年8月にまとめた以下、規制改善計画があります。 続きを読む

シェールガス開発と工場(精油所)の再利用

シェールガス開発によって安価に調達できる天然ガスに関連する工場の新設や米国での会社設立のニュースは定期的に報道されていますが、新設だけでなく、かつて使用されていた工場を再利用する、いわゆるブラウンフィールドの再利用のようなケースもあるようです。米国東部ペンシルバニア州フィラデルフィア市にある、いったん閉鎖された(または閉鎖予定だった)精油所がシェールガスに関連する加工・製造業に再利用される事例です。

2012年2月にいったん閉鎖された、米国東部のエネルギー会社SUNOCO社が保有していた全米でも最も古い精油所の一つ(約140年の歴史)を、カーライルグループが約200億円で購入し、天然ガスや関連製品を国内外に供給する施設として再稼働されるようになったとのことです。

http://www.reuters.com/article/2012/07/02/us-sunoco-carlyle-philadelphia-idUSBRE8610JF20120702

すでに、テキサス州Eagle Ford Shaleなどからの原油の加工等に活用されているようですが、今後ペンシルバニア州の東西に延びるパイプラインや高速鉄道をつなげて、Marcellus Shaleからの天然ガスをフィラデルフィア地域に電気やガス、熱を提供するプロジェクトにも拡大していくとのことです。

また、以前ConocoPhillipsが使用していた隣接する精油所は、 続きを読む

“The city as a lab”

昨夜Web上から参加・視聴できるボストンでのグリーンビジネスの会議を聞いていたら、スマート化する都市が、ラボ(計測拠点)としての位置づけになっていくとして、”the City as a Lab”というセッションができていました。パネリストには東部フィラデルフィア市のCIO(Chief Innovation Officer)などが出ていましたが、(行政組織にイノベーション責任者がいるところも面白いですが。。)エネルギーや水など様々な計測に加え、住民参加型の情報をプラットフォーム化していくことで都市が情報をつくっていくというような話をしていました。

そのほか、MITの教授による安価な液体蓄電池開発の話などもあり、それぞれのセッションは短時間でしたがとても興味深いトピックが多数ありました。登録すれば視聴できるようで、今夜(アメリカ東部時間の明朝)もあるようなので、興味のある方は参加・視聴されてはいかがでしょうか。会議のコンセプトは”Tech meets Sustainability”、いいですね。

 

http://www.greenbiz.com/events/verge/2013/05/boston/virtual-program?mkt_tok=3RkMMJWWfF9wsRons6rAZKXonjHpfsX57%2BglUaC%2BlMI%2F0ER3fOvrPUfGjI4AS8VlI%2BSLDwEYGJlv6SgFSLHEMa5qw7gMXRQ%3D

グローバル化するサプライチェーンと環境保険のトレンド

大手保険会社Marshが出した2013年の環境保険のトレンド・TOP10のうち、No1にサプライチェーンの環境事故による操業停止などをカバーする保険に関心が高まっているという記載がありました。先般のバングラディッシュの事故だけでなく、サプライチェーンが世界各地に広がるとともに、環境面も含めた様々なリスクを想定し、事前の予防だけでなく、いざというときの状況に事前に対応するための検討を始めているということでしょう。

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サステナビリティのプロフェッショナル

環境やCSR,サステナビリティに関する業務は増えていますが、実務に役立つ知識を短期間に身につけるプログラムが、アメリカのコロンビア大学でも始まるようです。

http://ce.columbia.edu/sustainability-management

このサステナビリティ・マネジメントに関する修士プログラムでは、大学内の各専門分野を横断的に学べる形のようで、最新動向を踏まえた興味深いコースがたくさんありました。残念ながら現在は、オンラインでの受講は提供されていないそうです。10数年前のペンシルバニア大学もそうでしたが、環境やサステナビリティは、分野横断型の実務が多いので、大学の様々な授業を組み合わせて受講できるプログラムはいいですね。

実務面でのサステナビリティの専門家のグループもLinkedInなどで多数できていますが、欧州ではサステナビリティの専門家のプラットフォームができています。今後も各所で広がりそうな気配です。

http://www.gacso.org/

 

シェールガス開発で恩恵のある業界と環境ビジネス

シェールガス開発によって新たな雇用は2012年までに160万人創出されており、2020年までに300万人の雇用がうまれると予測されていますが、これらの雇用をうみだす産業や経済成長は、天然ガスを産出する州だけでなく、周辺の様々な地域や産業にわたると予測されています。

http://www.ihs.com/info/ecc/a/americas-new-energy-future.aspx

上記IHSのレポートVolume2では、生産している州と生産していない州に分けて、恩恵を受ける業種を整理していますので、米国の該当する州に現地法人のある製造業などを除き、”天然ガスを生産していない州”の業種は、日本からみた現実的なビジネスチャンスとして参考になるかもしれません。

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シェールガス市場の環境ビジネス

シェールガスに関する環境問題への関心を背景に、シンクタンクやNGOによる環境リスクの研究が盛んですが、昨年頃からビジネス関連レポートも多数発行されており、経済影響をまとめたIHSのレポートのほか、大手コンサルアクセンチュア、KPMGなどから公開レポートもでています。アクセンチュアのレポートは、米国外の世界市場で開発を進めるオペレーター企業名とともに、オペレータ‐向けにポーランドや中国など環境問題をまとめたビジネス仕様の構成になっています。

http://www.accenture.com/SiteCollectionDocuments/PDF/Accenture-Water-And-Shale-Gas-Development.pdf

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