海外環境セレクト(2021年5月):バイデン大統領:気候関連の情報開示拡充に向けた大統領令を発行

5月20日、バイデン大統領は、気候変動関連財務リスクに関する大統領令(Executive Order on Climate-Related Financial Risk)を発行しました。

気候変動の影響は、資産や上場株式、民間の投資や企業に影響を及ぼすとして、これらの影響を考慮すると共に、企業の気候変動関連の情報開示の拡充に向けた取組を進める方針を示しています。

具体的には、政府内での取り組みを進めるため、120日以内に今後の取り組み方針をまとめるように指示すると共に、財務長官や金融関連の規制当局に対して、企業の気候関連リスク情報の開示拡充のためにどのような取り組みが有用か、その推奨事項等を180日以内に取りまとめることを指示しています。

また、トランプ政権時に決定されたERISA法(従業員退職所得保証法)におけるESG投資を限定する方針を再検討し、気候変動を含めたESG投資を進めるように検討することを指示しています。さらに、連邦政府の融資プログラムにおいては、気候変動リスクを考慮するプロセスとし、政府予算においても気候変動リスクを削減するように指示しています。

政府予算等を除き、民間の情報開示や投資に関する方針は、大統領令で直接変更できるものではありませんが、今後の方針に向けた施策立案を指示するもので、特に120日、180日レポート等においてどのような見解が示されるかがポイントになりそうです。

今年後半は、11月に気候変動国際会議COP26がイギリスで開催される予定ですが、IFRS財団による気候変動に関する開示基準策定状況の進捗も何らかの発表が予定されています。

4月下旬に採択された欧州のタクソノミー規制関連規制と共に、今年後半に気候変動開示に向けた様々なルールの枠組みが見えてきそうです。