4月22日、23日にオンラインでアメリカのバイデン大統領が主宰する気候サミットが開催されました。2050年の脱炭素化に向けて世界各国で協力して社会変革を推進することを目指しており、日本も菅総理大臣が2030年に向けて2013年比で46%削減するという目標を発表しました。
気候変動に向けた米国のリーダーシップが徐々に進む中、欧州ではその前日となる4月21日に、昨年から施行された欧州タクソノミー規制を具体化する規制や施策が発表されています。
タクソノミー規制は、金融機関等に対して気候変動や環境に配慮した投融資を実施する際に、どのような事業やプロジェクト、取り組みが環境に配慮しているといえるかを定義するもので、制度の骨組みをつくるものですが、これまで気候変動の緩和や適応、汚染防止や生物多様性など大分類されていたものを、より具体的に定義した”EU Taxonomy Climate Delegated Act”を採択し、2022年1月1日から適用する予定です。
また、金融機関に対して、受託者責任として、サステナビリティのリスクを評価することを明確に義務付ける“Sustainability amendments of rules on fiduciary duties”を採択し、2022年10月から適用する予定です。
今回、米国が主催者となり、気候変動サミットを開催した形ですが、米国内には共和党の多い10州が、連邦政府の炭素価格をオバマ政権時代に戻していることに対する訴訟もあり、脱炭素に向けた金融政策についても課題があります。
また国際的にもインドなどでまだ目標設定がなされておらず、欧州では制度や政策が次々と打ち出されています。
エネルギー政策だけでなく、企業経営や社会全体に影響を及ぼす政策が多い中、各国がルール作りをいち早く進めるという戦略的な国際交渉となっています。日本としてどのような取り組みを進めるのか、慎重かつ戦略的な方針が望まれます。