海外環境セレクト(2021年1月):バイデン新政権と環境・エネルギー政策

アメリカで新たにバイデン大統領が就任し、議会も上下院とも民主党が過半を占めることになりました。

環境や気候変動政策に積極的な民主党政権が大きな力をもつことになり、パリ協定への復活やカナダからのパイプラインの建設許可の取り消しなど、2050年の脱炭素に向けた政策が始まっています。

米国内の環境規制は各州の影響力が強く、州による取り組みも増えていることに加え、今後連邦政府による様々な政策が打ち出され、エネルギー分野だけでなく化学物質などの環境政策ESG投資などの金融面でもこれまで以上に大きな流れが生まれることになりそうです。

バイデン政権は、化学物質政策においても積極的な取り組みが行われるとの見方もあり、米国の毒性物質管理法(TSCA)に基づく新たな有害物質の規制の動きもあります。PFASについては、飲用水、食品梱包材など各州で規制が続いているほか、連邦EPAでは土壌・地下水に関する規制物質として扱うかどうかもパブコメが行われています。PFASに含まれる数千に及ぶ化学物質には、現在の生活や産業関連製品の製造に欠かせない物質も多く、産業界では規制を反対する意向を表明しています。

昨年に続き、ESG投資や環境債(グリーンボンド・サステナブルボンド等)は今年も大きく拡大することが予想されています。これに合わせて、企業の気候変動リスクの情報開示も進む方向で、スイスでも法案化が検討されています。

脱炭素と循環型経済に向けた移行期が始まり、石炭・石油・天然ガス等のエネルギー業界だけでなく、これらのエネルギーを使用する産業でも変革が予想されます。

政策的支援と市場原理を活用したかじ取りが求められる時期になりそうです。