海外環境セレクト(2020年12月)

2020年は脱炭素に向けたスタート年

10年後から2020年を振り返ると、2020年は世界で脱炭素に向けた大きな動きがスタートした年となるかもしれません。

新型コロナウィルスによる各国での外出自粛や都市封鎖により、2020年は初めてCO2排出量が前年比を減じる年となりました。これは温室効果ガスによる気温上昇を抑制するためには十分といえる削減量ではないようですが、世界的に脱炭素へ向けた目標が進みつつあります。

日本でも脱炭素に向けて再生可能エネルギー比率を2050年に50%超にするという目標案が公表されました。

欧州に続き、カナダでもグリーン産業戦略が発表され、各国で水素の活用に向けた技術開発・実用化が進みつつあります。アメリカでは炭素貯留に対して税制優遇の検討が進んでいます。

大手企業の取組も進み、再生可能エネルギーの中でも、カーボン・ネガティブとなるようなベンチャーへの出資も進められています。Googleグループでは、仮想発電所(VPP)を事業化する方向です。

アメリカでは、連邦政府に先んじて州レベルでの政策が進んでいます。ガソリン車の新車販売に対しての規制が進みつつあり、カリフォルニア州に続き、ミネソタ州でも2025年までに電気自動車や燃料電池車を拡充する方向性を打ち出しています。

オーストラリアでは炭鉱跡地に太陽光発電の整備がすすめられています。

有害物質の規制も進められています。欧州ではPFASの飲用水基準が制定されているほか、米国でも溶剤関連に使用されてる化学物質の規制強化が進んでいます。欧州ではプラスチックに対する課税が強化されます。アメリカでも海洋プラスチック漂流物の除去等も進められる方向です。

2021年は、気候変動に続きSDGsに向けた取り組みが加速することが予想されます。