先週、日本弁護士連合会からESGリスク情報の開示に関するガイドラインが発行されました。
企業や融資機関、機関投資家などに、有価証券報告書や融資契約にESG情報をどのように整理し、開示するかを示しています。
企業がESG(環境・社会・ガバナンス)に関する法令遵守の重要な情報を把握し、管理するガバナンス体制や開示項目、重要な影響がある場合の開示方針等が示されています。
今回のガイドラインは、弁護士会らしく、リスク対応を中心に、例えば法令遵守に関しては、ハードロー(いわゆる法律・法令)に加え、ソフトロー(実務ルール等)についても遵守することとしています。
ESG情報については、弊社の業務やCSR関連のコンサルティングなどを通じて多数見てきましたが、読み手としては、様々な見方、評価ができる情報、つまり、リスク情報とビジネスチャンス情報が表裏一体となっています。(先のガイドラインの冒頭にも記載がありました。)
たとえば、今週号のロンドン・エコノミストに記載されていたように、世界でエアコン数が急増していて、過去100年に設置されたエアコン数と同じ数のエアコンが今後10年間で設置されるそうです。
労働環境の改善や健康維持のため、エアコン設置は有用ですが、同時に、省エネや温暖化対策も実施していく必要があります。
記事にも冷房のためにエネルギーを使用しながら、温暖化を抑えるという複合解を解くためのいくつかのエアコン使用の要件(日本ではやや当然になりつつありますが、冷媒にフロンを使用しない、省エネ型のエアコン、建物の省エネ設計等)が示されていました。
また、インドでは、今年6月に、室内推奨温度に関するガイドラインを発行し、エアコンをつけたとき24-25度とすることを推奨しています。
アメリカやアジア各国では夏場、会議場などで夏服で寒い思いを経験した方も多いと思いますが、だいたい20度前後に設定されており、インドも省エネ推進のために、推奨温度情報を出しているようです。
(日本の推奨する28度とは大きく異なります。)
ではどうしたらよいか、事業や立場によっても異なってきます。
今後、企業の財務報告等にESG情報が増えてくると、リスク情報とともにビジネスチャンス(すなわちSDGs)に関する情報も増えてきます。その意味で冒頭の弁護士会ガイドラインは、読み手としてもためになる指針になりそうです。