シェールガス開発の環境への影響のうち、特に飲用水源への影響について2011年から開始されていた米国環境保護庁(US EPA)の調査結果素案が6月に公表されました。
現在、外部レビュー用にドラフトとして公表されていますが、その結論は、シェールガスによる飲用水源への影響がある可能性について、その潜在的なメカニズムが判明したものの、実際に、米国内でこれらのメカニズムによって広く飲用水源が影響を受けている事実は確認できなかったとしています。
影響が確認されたいくつかのケースについても、シェールガス開発全体の井戸数から比較して影響が小さいとしています。結論には、シェールガス開発以前と以後の比較におけるデータの不足等があったことや、今後の影響について不確実性が示されており、米国内の大手メディアでは、広く影響は認められなかったという結論と共に、データの限界や不確実性について言及しているようです。
以前から環境関連の専門家の間では、他の産業活動における環境リスクと比べて特別大きなリスクではないというのが全般的な総意であると言われていましたが、今回のEPAのドラフトはそれらを肯定する形といえるのではないでしょうか。
一方、既に日本でも報道されているように、原油価格の下落によってシェールガス開発の生産規模や収益が悪化しており、掘削サービス最大手のハリバートン社も、北米では2015年第一四半期に前期より25%ほど減収となっていましたが、2013年度の各四半期より5%前後減少となっています。近年、生産効率の向上も進められているようで、生産性は20%以上向上し、人件費が少なく、井戸の完成までの時間も大幅に短縮され、初期投資も抑えられるようになっているようです。
シェールガス関連の北米の環境規制については、今秋、石油学会のシンポジウムで講演させて頂く予定です。