5月下旬に欧州委員会は、2006年から提案されていた欧州域内に共通する土壌保全に関する指令(Soil Framework Directive)を取り下げる決定をしました。
土壌を自然資源として体系的に保全しようという方針は採用している一方で、土壌汚染に関してすでに各国で法制度が進んでいることから、イギリス、ドイツ、オランダなど土壌汚染の規制が進んでいる国が強く反対したようです。
特に反対の理由となったのは、土地を売買する際に土壌状況報告と呼ばれる土壌の報告書を添付することを義務づける方針が同指令の中にあったからと指摘されています。各国で整備されている土壌汚染規制との整合性がつかないため、すでに規制がある国ほど影響を受ける可能性があったためのようです。
欧州には約250万サイトに土壌汚染があるといわれており、イギリスだけでも30万カ所に上ると試算されています。まだ法制度ができていない中東欧での汚染発覚が増えることにより今後も増加傾向にあることも指摘されています。
今回の土壌指令は取り下げとなりましたが、2020年までには欧州各国で土壌汚染の浄化を進め、管理できる状態にすることが欧州環境アクションプログラムで採択されています。今後、どのような枠組みで管理をしていくのか、中期的にウオッチしていく必要があるようです。