ニホンウナギが国際的な自然保護組織(IUCN)から絶滅危惧種として取り扱われたのを契機に、水産物の管理強化に関するニュースが増えています。
持続可能性に配慮した製品や商品に関するラベル認証は、工業製品や建物などのイメージが強いですが、水産物の持続可能性についての共通の評価指標が、欧州・米国企業等で始まっており、来年からガイドラインを運用する方向になってきました。
もともとサプライチェーンの持続可能性を評価するため、大手小売企業などで進められているサプライヤーの持続可能性評価をモデルに、ドイツ国際協力公社(GIZ)が支援をしてはじめられました。このGSSI (Global Sustainable Seafood Initiative)は、100頁を超えるベンチマークツールを開発し、8月まで約2か月のパブリックコメント期間にはいっています。
評価内容は、漁場の水質や化学物質等の利用、えさの種類や管理、漁業による生態系への影響に加え、法的な位置づけや組織のガバナンスなども含まれ、詳細な評価指標になっています。上述したIUCNのレッドリストに関する項目も含まれており、FAO(国連食糧農業機関)のエコラベルガイドラインと比較できるフォーマットも策定されています。
持続可能性等について、一国で固有のルールを策定して交渉するのは難しくなっていますので、価値観を共有する企業や国と一定の共通指標を運用する動きが増えています。
日本は一人あたりの水産物の消費量は世界で第2位とトップクラスですので、水産物の持続可能性については関心や影響も大きいと思われます。ルールづくりから携わるには、組織や関係者の色々な支援が必要になりますが、価値観を共有するグループに参加しながら、実効性の高い取り組みを進めることは日本にとっても有用でないか思います。