金融庁が『日本版スチュワードシップコード』公表

2月26日に金融庁から機関投資家に対する『日本版スチュワードシップ・コード」が公表されました。
資産運用にあたって企業の持続的な成長を支える「責任ある機関投資家」の諸原則の一つという位置づけです。

内容は、「原則主義」「遵守または実施しない場合は理由の説明(Comply or Explain)」という形をとっており、全体的に基本方針が示されています。環境やCSRに関連する内容は、原則3に示されており、「機関投資家は、企業の持続成長に向けて、企業の社会・環境面の状況を的確に把握すべき」としており、リスク情報という観点で示されています。

昨日の日経ベリタスには、日本の株式保有の3割が外国投資家になっており、本コードに関連して、日本企業の外国投資家への姿勢が変わってきたという記事がでていました。環境、社会、ガバナンスに配慮するESG投資(SRI)の規模は、米国や欧州では日本のSRIの100倍以上になっています。国内外の機関投資家からの環境や社会面の評価が投資に反映されるようになれば、情報開示の経済的な意味合いも深まってくるでしょう。

【日本版スチュワードシップ・コード】(金融庁)

原則3 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を
適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。 

【指針】

3-1. 機関投資家は、中長期的視点から投資先企業の企業価値及び資本効率を高め、 その持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企 業の状況を的確に把握することが重要である。

3-2. 機関投資家は、こうした投資先企業の状況の把握を継続的に行うべきであり、 また、実効的な把握ができているかについて適切に確認すべきである。

3-3. 把握する内容としては、例えば、投資先企業のガバナンス、企業戦略、業績、
資本構造、リスク(社会・環境問題に関連するリスクを含む)への対応など、 非財務面の事項を含む様々な事項が想定されるが、特にどのような事項に着目 するかについては、機関投資家ごとに運用方針には違いがあり、また、投資先 企業ごとに把握すべき事項の重要性も異なることから、機関投資家は、自らの スチュワードシップ責任に照らし、自ら判断を行うべきである。その際、投資 先企業の企業価値を毀損するおそれのある事項については、これを早期に把握 することができるよう努めるべきである。