アメリカの土壌浄化ビジネス市場:日本の10倍規模に

2012年の国内の土壌浄化市場の市場規模は約800億円になっていることは、先般のブログでもご紹介しましたが、アメリカでは、製造拠点の統廃合やシェールガス開発関連の案件もあり、土壌浄化の市場も継続的に成長を続け、2012年は約8,000億円と、いつの間にか日本の10倍の市場規模になっています。

2013年には8,300億円強になるとの予想もでています。

数年前に、国内市場規模が約2,000億円あったころには、アメリカ市場は6,000-7,000億円くらいで、3倍前後でした。アメリカは国防省やエネルギー省の案件が半分近くありますので、ほぼ2倍と、GDP比と同程度でした。

アメリカ市場も、成長要因や差別化要素などこれまでの市場と異なっているところもあるようですが、継続して成長している市場では技術開発の予算配分も充実し、あらたなソリューションも生まれてくるでしょう。

他の市場も見ながらヒントを見つけていきたいと思います。

PS. 本日、応募していた中小企業庁のミラサポ:第一次審査通過のご連絡を頂きました。

皆様のお力を頂きたいと願っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

 

米国各地でのシェールガス反対運動

今月初め、コロラド州の3つの市とオハイオ州の1つの市でシェールガス開発である水圧破砕、いわゆるフラッキングを一時的に禁止する住民投票が行われました。コロラド州では、フォートコリンズ市とボルダ―市、ラファイエット市でフラッキングの禁止が可決されましたが、 投票数を再確認していたBroomfield市では、13票不足していたようです。関連情報はこちらのほか、各種メディアに掲載されています。

アメリカでは、州全体としてシェールガス開発を禁止しているところはニューヨーク、ニュージャージ、メリーランドなどわずかに留まりますが、郡や町(Town)でその境界内に新たなシェールガス開発を行うことを禁止するケースはすでに100以上に上っており、少なくとも8以上の州の特定の地域で禁止等が行われています。

一方、州法で認められているシェールガスの掘削が、州内の特定の自治体(群や町)で禁止できるかどうかについては訴訟となっているところもあり、Zoning規制(この場所では実施してはいけないというもの)は認められないが、一定の手続き等の追加は認められるなどの判決が出ているところもあります。全体として、シェールガス開発の環境影響などに懸念をする住民運動が増えていることは事実ですが、これらがシェールガス全体の開発にどのような影響を及ぼすのかはまだはっきりした影響はみえにくい状態です。

ただし、これらの住民投票や地域の規制が、ビジネス実務に及ぼす影響はあるため、事業実施主体だけでなく、投融資をする企業や金融機関でも環境デューデリジェンスとして、通常の質問に加えたいくつかの内容を追記すべきと提唱されています。またシェールガスの掘削井戸の近くの不動産に関しても、こうしたデューデリを実施することが求められる場合もあります。

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ユーティリティ業界の将来図:5つのトレンドと6つの視点

先々週、海外の調査会社のWebinarがあり、アメリカ・欧州を中心とするユーティリティ業界の将来動向に関する大変興味深い議論がありました。

日本でも2016年からの電力自由化に続き、ガス事業の自由化の議論も始まっていますが、すでに自由化が進んでいる海外のユーティリティ業界では、今後も大きな変化が続くということです。

セミナーでは大きく以下5つのトレンドと6つの視点から、個別事例や英米オーストラリアなどの電力/ガス会社、エネルギーマネジメント・ソフトウエア、顧客アンケート結果等の紹介もありました。 続きを読む

金融業界のサステナビリティ_SASBがドラフト公開

先週、金融セクター7業種のサステナビリティに関する重要項目案が、米国のSASBから公表され、12月末までパブリックコメント期間になっています。

環境面については、おもに以下の3つのポイントが含まれています。

  • 融資や投資における信用リスク評価に、環境・社会・ガバナンスに関する要素を統合すること(投融資)
  • 担保不動産等の環境リスク管理(不動産担保ファイナンス)
  • 環境リスクの影響(保険)

 春頃のブログで掲載しましたが、米国では中小金融機関の担保不動産審査時における環境リスクの評価も明文化され、環境リスク評価が広がりつつあります。また今月6日に公表されたASTMの環境サイトアセスメント(E1527-13)などにより、政府データの確認や揮発性物質(Vapor Intrusion)などのリスク管理も拡充され、金融機関の環境リスク評価の仕組みも進化していくでしょう。

市場の成長を維持しながら、仕組みを成熟化させていくには、ルールをわかりやすくし、新規参入者に門戸を開くことも重要になると思われます。

FINEV座談会では異業種の皆様に参加いただき、関連分野の成長と進化につながる情報交換を進めていきたいと思っています。

 

 

ブラウンフィールド化進む国内と土壌汚染ビジネス

環境省が取りまとめている土壌汚染対策法の施行状況によると、11月1日現在、国内の形質変更時要届出区域(土壌汚染があるが、現在すぐに対策が求められるのではなく、形質変更時に届け出ることが求められる土地)は、913サイト、要措置区域(土壌汚染対策が求められる土地)は113サイトとなり、合わせて1,000サイトを超える状況となっています。

2010年の土壌汚染対策法の法改正前にあたる2009年度末には、指定区域が約200サイトだったことを考えると、3年半で5倍に増加している状況となっています。すべてのサイトが有効利用されていないわけではないと思いますが、形質変更にあたる、解体や改築などをしない、いわゆる未利用の建物や有効利用が進められていない土地もそれなりの割合になっている可能性があります。

土壌汚染対策が進まずにいることを反映しているためか、社団法人土壌環境センターが発表した昨年度の土壌汚染ビジネス市場は、2006年度のピーク時の半分以下の800億円に落ち込んでいる状況です。(今年度は不動産市況も活発になり、増加に転じると思われますが・・)

こうした中、欧州では土壌汚染対策に関する規制や、汚染土地の健康被害と今後の対応に関するいくつかの進捗が見られます。 続きを読む

環境・サステナビリティに関する実務教育

先週の座談会では、4時間余りにわたって国内外にわたる環境や持続可能性に関する楽しい議論をさせて頂きました。第一線で活躍されている、違った専門分野の方と同じテーマについて議論するのはとても勉強になります。

環境分野のソリューションは、各地域の自然環境や国の歴史文化、ビジネス慣行など、様々な要素を踏まえて成熟していっています。そのため、各国や各地域での違いもあります。そうした違いを知ることで、新たなビジネスのヒントや、現状のアップデートにつながるものもでてくるかもしれません。

今は環境関連の業務の大部分は、実務を通じて習得するOJTがほとんどですが、環境ビジネスに直接役立つ知識や知見を短期間に修得できる大学や実務教育の場が日本にもっとできてもよいのではないかというご意見もありました。

ちょうど、一昨日、米投資銀行モルガンスタンレーがInstitute for Sustainable Investment (持続可能な投資に関する研究機構)を設立したという発表がありました。 続きを読む