先週、イギリス議会は、自然資本(Natural Capital)を今後、国の政策や会計等に組み入れる方向を固めたようです。議会の議論については公開されています。
自然資本は、水や土壌、エネルギーなどの自然資源の価値を評価し、それらを保全しながら、経済社会の中で持続的に活用していくことを目指しています。そのために、まず自然資本の実態をきちんと把握し、評価する枠組みを確立することが提唱されています。こうした取り組みを支持する世界の約50の金融機関が自然資本宣言(Natural Capital Declaration)を採択しており、日本では三井住友信託銀行が参加しています。
イギリスではこの4月に、政府内に設置された自然資本委員会からレポートが発行されました。ここに記載された今後の方向性、推奨事項について今般国会で方向性の承認が行われたものです。
このレポートにも記載されていますが、イギリスや日本などの先進国に対して、新興国では自然資本の消失に関するGDP比が高く、重要な自然資源が急激に失われつつあります。
イギリスでは、これらの自然資本の計測方法などを確立し、今後国家の予算や会計の考え方に組み入れていくことを検討しています。不可逆性のある自然資本の現状を把握しながら、できるだけ自然を保全する枠組みを早期に確立していくことを目指しています。
すでに民間企業でもドイツのスポーツ用品メーカー/Pumaの自然資本会計が有名ですが、日本でもこうした取り組みが数年後にはでてくるのではないかという意見もあります。
ご存知の方も多いと思いますが、イギリスの動きは、環境やサステナビリティについて世界をリードする傾向があります。現在進められている統合レポートなどもイギリスが率先して提唱してきた動きですが、今回の自然資本についても、この領域での議論をリードしていく方向のようです。
近いうちにFINEV座談会でも取り上げてみたいと思っています。