8月上旬にインドでは会社法が50数年ぶりに改正され、企業の社会的責任(CSR)に関する項目が追加されました。以前のブログでも紹介したように、一定規模以上の企業にCSR委員会の設置等(独立したメンバーが最低一人以上)を義務付けるとともに、前年純利益の2%をCSR活動に支出することを求めています。
法律制定を受け、管轄するMinistry of Corporate Affairs (企業省)の大臣が、Google Hangoutで、企業関係者やNGOと本改正内容におけるCSRについて約1時間の対話している状況がユーチューブで公開されています。
企業、NGOなどがそれぞれの立場で率直に話しており、企業省大臣からはCSRと企業、社会全体の影響について現状を踏まえた建設的な発言が多く印象的です。外資ではボーダフォンとGoogleが参加しており、GoogleがインドのCSRイニシアティブとして始めたというGoogle Impact Challengeについて紹介しながら、CSRは退屈なものである必要はないという発言に大臣も同意していました。
法律の詳細ルールについては、これからパブリックコメントなどを聞きながら決めるようですが、別途アメリカのPR会社からCSRについてインドや日本を含めた主要各国の意識調査をまとめたレポートが公表されています。
インドでは、消費者の購買が社会に大きな影響を持っていると考える人が過半の割合になっており、消費者の影響についてはブラジルについで2番目に高くなっています。また、企業が社会に対してよい影響をもたらすとする回答が最も高くなっています。製品を取り扱っている企業では、インドでのCSRプログラムを検討するときに参考になるかもしれません。なお、日本については、企業の影響も、消費者の影響も比較的少ないという結果になっていました。
今回のCSRルール詳細や施行時期については、今後引き続き注視が必要ですが、今週の「エコノミスト」の特集にもあるようにインド経済は厳しさが増しているようです。こうしたCSRのルールが経済停滞期にどのような影響がでてくるのか、どのようにChange Driverになるのか、世界の注目が集まりそうです。