猛暑と気候変動とビジネスリスク考

日本でも猛暑が続く中、原子力発電所の新たな安全基準に基づく再稼働が申請されました。

各地で夏の平均気温が記録的に高まっているということですが、昨年、海水温度の上昇により冷却水の温度規制から、12日間稼働停止になったアメリカ・コネティカット州の原子力発電所では、同様の稼働停止がないように、5月に米国の原子力規制委員会に要望書を提出したということです。

同じ施設内でも海水の深いところから取水している施設の冷却水は、海水の温度上昇が相対的に少なく、稼働停止には至らなかったということですが、原子力関連の水問題について過去40年の案件がまとめられるなど、もともとこの問題がある程度認識されていたことが示唆されています。

NRCは、さらにデータ提供を求めたというコメントが報道されており、結論は来年以降になるため、今夏も同じ問題が再発することも懸念されているようですが、現状では昨年よりは若干気温も低いということです。

詳細はコネティカット州の新聞に記載されています。

ちなみに、コメントが紹介されているコネティカット州のエネルギー・環境委員会のDaniel Esty委員長は、エール大のロースクールと環境森林学部に在籍していた著名な環境法の教授です。上記の問題については、電力需要の多い夏季に、原子力施設の稼働を停止することについて懸念を示していたと記載されています。夏季の電力需要への対応だけでなく、他の発電施設を代替利用することに伴う汚染問題、廃水による海洋資源への影響など、各種問題を指摘していたということです。

Esty教授の著書は日本語にも訳されている”Green to Gold”が有名ですが、個人的には90年代後半の編著書である”Thinking Ecologically”が、とても印象深く、よく読みました。

次世代の政策にむけた同書の最終章には、”Environmental protection has become everybody’s business”とあり、すでに今を表現しています。

当時はとても斬新だと思われていた提案などが、少しずつ現実的になっているように、今後10年、20年で、いまは遠い未来と思う理想的な技術やサービスも徐々に現実的になっているのかもしれません。

 

≪追伸≫

昨夜、福島原発の吉田元所長が亡くなられたという報道がありました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

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