シェールガス開発によって新たな雇用は2012年までに160万人創出されており、2020年までに300万人の雇用がうまれると予測されていますが、これらの雇用をうみだす産業や経済成長は、天然ガスを産出する州だけでなく、周辺の様々な地域や産業にわたると予測されています。
http://www.ihs.com/info/ecc/a/americas-new-energy-future.aspx
上記IHSのレポートVolume2では、生産している州と生産していない州に分けて、恩恵を受ける業種を整理していますので、米国の該当する州に現地法人のある製造業などを除き、”天然ガスを生産していない州”の業種は、日本からみた現実的なビジネスチャンスとして参考になるかもしれません。
生産している州では、掘削、土木建設、鉱業、計量や金属関連の製造など、生産現場でのサービスが多いのに対し、生産していない州では、化学品の製造やコンピューター電気製品の製造、各種素材など製造業に加え、金融や保険関連などのサービス業も恩恵を受けるとしています。
いずれのサービスや製品、素材に対する需要も、今後引き続き高い需要が見込まれると思われますが、検討されている環境規制への対応など、数年前に比べても様々な新規技術やサービスが展開されています。同時に、環境分野でこれまでなかったバリューチェーンや地理的カバーの拡大のためのM&Aが行われているようです。
エネルギー業界への廃棄物関連の環境サービスを展開している企業が、昨年買収した一般廃棄物処理の会社の案件も異なった顧客セグメントを対象としていた廃棄物関連業界の興味深いM&Aといわれています。
http://www.r360environmentalsolutions.com/index.php?id=115
シェールガス関連ビジネス全体の中で占める環境分野の割合はそれほど大きな割合ではありませんが、今日の環境ビジネス業界でのシェールガス関連分野の”ブーム”は、以前にも紹介した米国内の老舗環境ビジネス誌EBJ社も「5年前に予測できた人はほとんどいなかった」としています。
シェールガス関連の環境ビジネスをみると、現時点では様々な意見があり、各社の戦略に応じたセグメントを定義している時期のようです。とはいえ、水、廃棄物、ロジスティックス、そしてエネルギーという主要な環境分野をカバーする、シェールガスの環境分野のバリューチェーンの再編や統合が加速するとすれば、これまで欧州系の企業が上位を占めていた世界の環境ビジネスに、新たなメジャープレイヤーがアメリカでも生まれるかもしれませんね。